「バンドを売るために○○をしました。」革新的プロモーションで成功した8つの事例
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集客できないバンドのプロモーション活動についての話から始まり、前回の『だからあなたは集客できない。動員数をあげる3つのステップ』では人脈の大切さについて触れました。
今回は、アイデア次第ではいきなり数百~数百万人にアプローチ出来るかもしれないという話。実際に話題性(アイデア)溢れるプロモーション活動で、注目をあつめた事例を紹介します。脱身内ライブ!
最近はステマや炎上などで注目されている方が目立ちますが、そういったのは後に繋がりにくい注目のされ方でもあります。
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注目されると絶対に批判はつきまとうものの、やはり「やりおった!」とか「おれたちにできない事を平然とやってのけるッ!そこにシビれる!あこがれるゥ!」とか言ってくれる人が多い方が気持ちいいってもんです。
そんなわけで、炎上ではなくとびきりブッ飛んだアイデアや売り込み方法で、注目を集めることに成功した8組のアーティストをピックアップ。
1.The Get Out Clause|街中の防犯カメラでPV作成
防犯の為、街中にカメラが設置されているイギリスだが、その映像をそのままPVに利用したバンドがThe Get Out Clauseだ。動画を見るとわかるが、道路に始まりバスやタクシーの中など、かなり多くの監視カメラ映像が使用されている。
「俺たち、金をかけずにかっこいいものを作りたいって考えてたんだ。それで、監視カメラの前でプレイして、後で“情報公開の権利”を主張して映像を返してもらえばいいじゃんって思いついたんだ」
via 『貧乏バンド、監視カメラでPV制作』
2.Dirty Loops|有名アーティストの曲をYouTubeでカヴァー
最近僕が一番ハマった洋楽バンドDirty Loops。彼らはアデルやレディー・ガガなどの有名なアーティストの楽曲を圧倒的な技術でアレンジしYouTubeで公開した。楽曲から興味を持ち動画を見た人から話題になり、わずか5本の動画で累計1400万再生を達成。あのデイヴィッド・フォスターがプロデューサーとなり超大型新人としてメジャーデビューを果たした。このDirty Loops、めちゃくちゃ格好いいので、次回に別記事で取り上げます。
追記:更新しました『Dirty Loopsに学ぶYouTubeの使い方+ベース解説』
アンドレアス・カールソン「人々は何を求めるのか」「自分が狙うオーディエンスはだれなのか」「どのような方法でオーディエンスに提供するのか」。綿密に考えてこそ、成功はついてくる
3.VULFPECK|Spotifyを使い無音曲でツアー資金捻出
日本上陸もまだかまだかと待たれている音楽ストリーミングサービスSpotify(スポティファイ)。リスナーは定額制サービスですが、1再生ごとにアーティストに収入が入る仕組みになっています。しかし、1曲の再生で得られる金額は少なく、ツアー資金をSpotifyで得たいと考えたバンドVULFPECKのメンバーJack Strattonは、より多く簡単に再生される曲を作曲、楽曲登録しリピートで聞いてもらえるようにした。結果、推定6700 ~ 9400ドル(67~94万円)を集めることに成功したと言われています。
「1曲の長さが短くてほとんど音が聴こえないアルバム、それを沢山の人が寝てる時間に再生してくれれば、ツアー資金を捻出できる」
4.OK Go|コミカルなダンスPVでグラミー賞
OK GoはかなりユニークなPVが日本でも話題になったので知っている人も多いんじゃないでしょうか。ウォーキングマシンを使い踊るPVのHere It Goes Againが評価され、2007年度のグラミー賞を受賞、YouTubeビデオアウォーズ受賞など数々のメディアで取り上げられました。ちなみにユニークな振付はボーカル・ダミアンの姉がしている。
5.FoZZtone|世界に一枚のオーダーメイド・アルバムを受注生産
購入者一人ひとりが選曲し曲順も決めれるという業界初のオーダーメイド・アルバムを発表。CDにはユーザー自身の名前もクレジットされ、当初1000枚限定の完全受注生産とするはずだったが1日で即完売。追加生産されることとなった。他にも22才未満の学生のオープニングアクトを募集など数々の新しい試みを実践。その後、アニメ遊戯王のエンディングテーマなどにも起用された。
「悲しいことに、今の時代は「素晴らしい音楽が生まれた」ってことは何のトピックにもならないんだ。具体的な数字とか耳目を集める音楽以外の要素が無いと 誰も見向きもしない。でも文句を言っても始まらないから、絶対に音楽からは離れずに、音楽に徹底的に重心を置いたトピックをブッたてまくった。めちゃくちゃ疲れた(笑) 」
via 『前代未聞をやりまくる熱いバンド、FoZZtoneがカッコいい!』
6.KANA-BOON|YouTube TrueView インストリーム広告
これはミュージシャンにとって一番アツい宣伝方法だと僕は考えてるんだけど、利用してる人は多分少ない。というか内容を知らないんだろう。というわけで最近人気のKANA-BOONを例に上げましたが、YouTube広告で有名になったバンドはまだ他にもいるはずです。KANA-BOONは「自主制作PVが10万再生越えて話題に~と言われていたけど、この広告再生だけで10万再生突破していた」という記事も見たことある。後日、このTrue View広告がどれだけメリットがあるのかも記事にしたいと思ってるので待っててください。
7.Radiohead|金額は「自己申告制」アルバムをネット販売
リスナーが楽曲にタダから無制限で好きな金額を付けて購入するというもの。こちらはかなり話題になりましたね。これが発表されアルバムが発売されたのが2005年。この時既にメジャーレーベルとは契約を終えており、インディーズだったからこそできたことかもしれません。音楽も実験的なRadioheadですが、社会問題に対する活動や、こうした音楽業界自体のシステムへの挑戦も積極的に取り組んでいるのです。
via 『大物バンドが仕掛けたネット販売に音楽業界が激震!?』
8.トーニャハーディング|クラウドファンディングで141万円の資金集めに成功
考案者の発案内容に賛同した人が金額面で支援し、企画を実現させるという今話題のクラウドファンディング。トーニャハーディングは音楽系クラウドファンディングサイトのPICNICで目標額30万円を募集して自分たちのレコードを作ろうとしました。1000円の支援でミックスダウンロード権利。3000円でレコード一枚+ダウンロード、5000円だとそこにTシャツとステッカーも付く。まだまだ沢山あるのですが、なんと最大の支援額100万円の場合はトーニャハーディングとアイスランドへ旅行し、弾き語りライブ+世界最大級の露天風呂スパ「ブルーラグーン」で遊べる権利が付くというぶっ飛んだ内容に。最終的に141万円もの資金を集めることに成功した。
via 『2014年にITをつかって、がんばってレコードを作った人の話』
以上、世間の注目を集めた8つの音楽的プロモーションでした。
まとめ
タイムリーにも、YouTube(Google)がクラウドファンディングのシステムを導入すると発表されました。
関連:YouTubeがクラウドファンディングを導入へ。製作資金などクリエータをファンが直接支援
余談だけど、制作費目的で制作側が「ダウンロードよりCD買って」とか言うくらいなら、ストレートに金くれって言えばいいのにとは思う。
個人でも十分に音楽を発信していける世の中になったことで、いい音楽を作るだけでなく、それを聞いてもらう方法もアーティスト自身が考えなければいけない時代になったと言えます。
こんな面白いことやりましたっていうのがあれば、自分で各メディアにプレスリリースしてもいいと思います。面白い試みや結果であれば、取り上げてもらえるかもしれませんよ。
というわけで、次回からもちょくちょくマーケティングやプロモーション方法について取り上げていこうと思います。宜しければ下のFBやTwitter・RSSで読者登録してもらえると嬉しいです!
次は今回紹介したDirty Loopsにスポットを当ててみます。
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