ゴーストライターならぬ『ゴーストサウンド問題』も深刻です。
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──あの問題が今、再び。
いよいよ明日(24日)ワールドカップ予選最後の試合、W杯の決勝トーナメント進出するには日本がコロンビアに勝つことが最低条件。まさに負けられない戦いがそこにあり、日本中が大熱狂の真っ最中。
そんな中、音楽大手レコード会社の日本コロムビアも日本チームの勝利と決勝進出の奇跡を願い、社名を2日間限定で「日本VSコロンビア」に変更するというニュースまで出てきました。
日本コロムビア(株)は、 【期間限定】で『日本 vs コロンビア株式会社』社名変更いたします。
はて、この『日本コロムビア』、ちょっと前にもどこかで話題になってましたね。
そうです。あの全聾の天才作曲家、現代のベートーベンとまで言われた佐村河内守さんの曲は、別人(新垣隆さん)が書いていたというゴーストライター問題の時です。日本コロムビアは佐村河内守さんの代表曲である交響曲第1番"HIROSHIMA"のCDを販売していたレコード会社であり、事件をキッカケにCDの出荷およびネット配信を停止すると発表していました。
今では小保方さんのSTAP細胞問題の影で徐々に風化してきましたが、僕はゴーストライター問題がそれだけに留まらず音楽業界で別の問題を浮き彫りにしたと見ている。
あなたはなぜその楽器を選んだのか
好きなバンドやアーティストに憧れて楽器を始めたという人は少なくないはずだ。すると、好きなミュージシャンの機材もマネしたいと思うのは自然な流れだ。そこで参考にするのは、そのアーティストが答えている音楽雑誌のインタビューか?wikipediaか?
それよりもっと多いのが宣材写真やMVではないだろうか。
今まで多くのアーティストの機材を調べてきた人なら分かるかもしれないが、レコーディングやライブ、撮影などで楽器を使い分けている人は多い。
しかも中には録音時に、エンジニアなどに「これいいよ」とか言われて使った、その瞬間にしか使ってない機材もある。楽器本体も、エフェクターもだ。
そ こ が 問 題 だ 。
レコーディングされたその音源を聴いた"未来輝かせる楽器少年"の中では、盲目的に『鳴っている音=写真や映像で持っている楽器』という方程式が成り立つ。
佐村河内守さんが『自分で作曲してなかった』と話題になったが、
『──鳴っている音と写っている機材が違う』
これは、もはやゴーストライターならぬゴーストサウンドではないだろうか。
芸能界の闇は深い
例えば、この問題は楽器だけに留まらずCMなどでよくある芸能人を起用した商品紹介などにも当てはまる。具体的に言うと以下の通りだ。
だから「なによ!あの歯磨き粉使ってるのにきゃりーぱみゅぱみゅみたいにならないじゃない!!!」こういうことになる。ぱみゅぱみゅは本当にあの歯磨き粉を毎日使ってるのか?嘘つけ!ちゃりーこぎこぎしてもぱみゅーきゃりきゃりしても絶対違う歯磨き粉使ってるんでしょ!!もし本当に使ってるなら買う!俺は今すぐ買うぞジョジョー!
これだよこれ!今回言いたいのは本当にこれ!絶対レコーディングかミックスで普段使ってない物使ってるじゃん!同じ音出したいのにあれどう出してるの?技術の問題?嘘つけ!「僕ずっと指弾きなんで笑」とか言いながらピック使ってんだろ!騙されんぞ!
もうこれら3つは完全に一緒である。この闇は深い。
しかし、今回はあくまで音楽(楽器)的なことに照準を当て『ゴーストサウンド問題』として話を進めていこうと思う。
少年に突きつけられる理想と現実
「同じ楽器使っても弾く人が変われば音は変わるよ」
「違う楽器でも弾き方や設定で近付けていくもんだよ」
と思った人もいるだろう。
確かに、演奏歴が長くなればなるほど、それに気付き実践し始めるものだ。
しかし、それはゴーストライター問題での「業界では別人作曲は当たり前」「ダマされる方が悪い」という意見と同じようなものではないだろうか。"未来輝かせる楽器少年"は、そんなこととはつゆ知らずに目を輝かせる。ギターって言ってるのに三味線弾いてるくらいじゃないと、「いや、お前それちゃうやろ!」とはなかなかなりづらい。
また、「いい音といい見た目は違う。聴かせる為のものと魅せる為のものの違いだよ」という人もいるだろう。
確かにそうだ。亀田誠治さんも、以前使っていたヴィンテージのベースがライブに耐えられなくなってきて「レコーディング用に取っておいては?」と言われ、YAMAHA BBを使い始めたという話もある。これはやむなしという場合だ。
Seiji Kameda – アーティストインタビュー – ヤマハ株式会社
録音は音がいい楽器を使う。撮影は見た目のいい楽器を使う。確かに良いとこ取りで納得だ。しかし、それが行き過ぎたマクドナルドのCMと現実の違いには納得出来ない。なんだあの「1回叩き潰しました(満面スマイル)」みたいなハンバーガーは。
僕の好きなものはみんな化けの皮かぶってた。2次元考察
そこまで考え、僕はふと好きなアニメを思い浮かべて気付いた。
二次元のキャラたちから発せられているのは、声優と呼ばれる三次元の物質から発せられている声だということを。
僕は、まゆしぃが好きだと思ったら、中に花澤香菜が居た。
僕は、平沢唯が好きだと思ったら、中に豊崎愛生が居た。
僕は、綾波レイが好きだと思ったら、中に林原めぐみが居た。
──こ、こいつぁえらいことに気付いちまった……
僕の好きだったものは、その裏にとんでもない顔を隠していたのだ。
だけど、僕はそんなの全然構わない。だって好きだもん。(なぜか恥ずかしい)
しかし、これが中の人が主演(実写)でまったく同じ内容を演劇でやったとしても、ここまで好きにはなっていなかったかも知れない。というか多分好きになってない。外側と内側が揃って僕は好きになったのだ。それでいい、それだけでいい。
そう考えるとゴーストサウンド問題って悪くないなぁと思ったんだなぁ。(適当)
ここまで読んで気付いた人も居るかも知れないが、僕はこのゴーストサウンド問題について、実際は危機感もなければ、問題視もしてない。ふと思ったので書いてみた。悪気はなかった。これがゴースト問題提起だという自覚はなかった。
もっといい例えが…?
ここで、この話を終わればいいものを、更に僕の頭の中で行われる脳内会議で一人が異議を唱え始めた。
頭のなかの小さい僕「その声優例え話おかしくね?そのまんま置き換えるなら、『バトーさんCV:大塚明夫』って書いてあるのに実際はCV:子安だったとかじゃね?お前、子安の声が好きになったのに大塚明夫の写真集買ったみたいなもんだぜ?」
あ、うん…確かに、でもそれも悪くな……いや…うん。
これには僕も混乱したまま今でも答えが出せずに、思考の無駄無駄ラッシュが止まらない。
さて、この話とは別に、『バンドを名乗っているが、レコーディングはスタジオミュージシャンが演奏してる』とかいうゴーストプレイヤー問題もあるが、長くなるのでそれはまた別の機会に。
うたいぬの今日の一言
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