ギターは消える?楽器演奏の仕事が失くなる日

ギターは消える?楽器演奏の仕事が失くなる日

そう遠くない未来、僕らはここには居ないかもしれません。

近年の技術革新により、「楽器を演奏して録音する」という機会が減ってきているという話。簡単に言えば「打ち込み」をすることによって演奏する必要性が薄れてきているのだ。

SEKAI NO OWARI深瀬さんの「まだギター使ってるの?」発言が今話題になっているが、彼の発言については「自分たちの音楽のメイン楽器ではない」、「音楽シーンでの重要度が以前より低くなっている」という意味を含んでいると思われるので、今回の話は少し意味合いが違うと思う。

 

レコーディングしなくなる5つの楽器とその順番

演奏(レコーディング)の仕事がなくなる"順番"というのもある程度予知されてて、今回はバンドで馴染みのあるボーカル、ギター、ベース、ドラム、鍵盤の5つに触れようと思う。

 

1. ドラム

ドラム

最初になくなるのがドラムである。

これは録音環境による問題と楽器の特性によるものだ。音を出す環境、録音機材を揃えること、さらにドラムはマイキングなどによる位相の影響など、録音が非常に大変な楽器だ。そして、太鼓(打楽器)という特性上、ニュアンスの再現性、ドラム音源(素材)と実際に録音したものの差が出にくいのである。

むしろ、録音環境や技術の問題、打ち込みによる安定したリズムという点で、下手に録音したものより、BFDやAddictive Drums, SUPERIOR DRUMMERなどのいい音源を使った打ち込みドラムの方がクオリティーが高いことはままある。実際、現状でも生演奏と思ったらドラムが打ち込みだという楽曲も多いし、録音はしたけど結局トリガーで一緒に音源を鳴らす、差し替えるということも少なくない。

 

2.ベース

エレキベース

次に影響あるのがベース。基本的に単音でしか弾かないという点が大きい。

僕もベーシストな訳だけど、たまに打ち込みで作っといたほうが早いんじゃね?と思うこともある。重いけどトリリアンとか音めっちゃいいし。

ただ打楽器と違ってスライドなど"音程がシームレスに上下"する部分が入ってくると、一気に大変になる印象がある。『Tal Wilkenfeldの記事』でも書いたけど、スライドやグリスがベースでのグルーブや個性に必要不可欠だと僕は思っているので、これが改善されない限りまだベースは生がいいのだろう。

 

3.鍵盤

鍵盤

ピアノとシンセなどを一緒くた気味になりますが、次に鍵盤。

ギターとちょっと迷ったのですが、キーボーディストなどでもMIDIで録音する事も多い点、鍵盤弾けない人でもポチポチ自分で打ち込んでる人の多さなどから先にあげておきます。

僕とみんみが以前組んでいたグループggpm:8でも、二人とも鍵盤は弾けないけど『パノラマ』などで弾いてるのは僕とみんみです。もちろん鍵盤弾きの人から言わせれば怒られるようなできかもしれませんが、代替が利かないことはないんじゃないかと。ちなみに、鍵盤を弾けるというのは、作曲や打ち込み速度などのレベルがかなり変わってくるのでかなりの強みで重宝されると思います。

 

4.ギター

エレキギター

次にギター。

これはまだまだ、打ち込みでの実用が現実的ではない楽器で、アルペジオ(単音弾き)ならまだしもコード弾きとなるとまだ実用段階ではないと思います。

音ならどうにかなりそうなんですが、ギターって複数の弦を同時に弾くことが前提なんですよね。多い時で最大6弦同時になります。ただ、これって全部一緒のタイミングで鳴ってるわけじゃありません。上からストロークすれば6弦→5弦→4弦→3弦→2弦→1弦と、わずかながらも発音タイミングが違うわけです。そのストロークの緩急でニュアンスもまったく違ってきます。しかも、それが下からのストロークもあることを考えれば、ギターを打ち込みで再現するのがいかに大変か分かりますよね。

 

5.ボーカル

ボーカル

そして最後まで残るのがボーカル。

これはもう替えがきかないものです。まさに声(体)が楽器というわけです。ここ数年はボーカロイドの人気も凄いのですが、僕はこれを『ボーカロイドという歌手』と位置づけれるんじゃないかと考えています。詳しく割愛しますが、要するに、一人の歌手だけでオリコンや発売される曲が成り立つとは思ってません。

今後、『初音ミク』や『鏡音リン』などボカロデータのようなものを個人の声で誰でも作れるようになる時代は来ると思います。それでも、キャラクターという要素も重要とされるボーカルは最後まで仕事がなくなることはないでしょう。

 

以上が諸説6割、自説4割といったところ。

今回は録音(レコーディング)の話をしましたが、楽器演奏の仕事は当然それだけじゃない。バーやライブ会場での演奏、音楽教室などでの講師など普通の人が思っている以上にはある。おそらく演奏の仕事が完全になくなるということはないだろう。しかし、仕事がなくなるほど食べれる人は減り、食べれる人が少ないなら目指す人も減るのは分かりきったことだ。

将棋では、遂にプロが機械に負けるようになり、それでも人間が将棋を指す意味を問われています。

関連:機械と対決をする屋敷伸之九段 人間が将棋を指す意味を語る

 

大事なのはエレキギターなのか。今後、台頭するかもしれない次世代の楽器たち

ファイナルファンタジー10-2OP

ファイナルファンタジー10-2をプレイしたとき、OPムービーで流れるライブ映像が鮮明に記憶に残っている。宙に浮かぶステージ上で、装飾が派手でサイバーなギターやベースに見える楽器をプレイしているキャラクターがいた。

ゲーム上の、しかも僕らの世界とは時代背景も文明もなにもかも違う楽器だ。しかし、僕らの世界でも徐々に進化した変わった楽器が登場してきている。

例えば、MoogからはMoog Guitar、YAMAHAからはRBX4A2など。僕(mudai.)のバンドメンバーでありLILI LIMITで活動しているギターの土器くん(@lililimit_doki)はLine6のVariaxという数十種類モデリング切り替えの出来るギターを使っている。それらは今はただの変わり種、今の楽器とは取って代わられることはないと考えている人が大多数だろう。僕もそう思う。

 

常識は大事。なぜならそれを覆す瞬間が歴史になるからだ

常識は大事。なぜならそれを覆す瞬間が歴史になるからだ

確かに、今の飛び道具的でファンシーな楽器がエレキギターの代わりにはならないと思う。と、同時に、僕の持論の一つに、「流行はいつでもアニメやマンガ・ゲームが先取りしている」というのがある。ファッションしかり、テクノロジーしかりだ。

ドラえもんだけじゃない。ワイヤーで宙に浮いたり、二次元である初音ミクが現実にライブしたり、昔はできなかったことが今はできるようになった。いつステージが浮いたって不思議じゃない。それは楽器自体にも言える。

エレキギターは1930年代に開発された。つまり誕生からまだ100年も経っていない。腕時計は必須とか、永久就職とか、炎天下でも長袖長ズボンで水分補給は一切禁止みたいな一昔は当たり前だったことは今の当たり前ではない。それが常識だった時代を生きてきた人にとって、それ以外はおかしいと思うかも知れない。だけど、常識が常識だった期間なんて歴史の中でほんの数十年程度の話であることは多い。

1960年頃、日本に登場したベンチャーズと共にアコースティックからエレキに時代が移ったように、次に広まるのは今ではまったく想像もしていない楽器なのかもしれない。

僕らが次のベンチャーズになるかもしれないのだ。